[エッセイ]街道を行く(20)中国・蜀と雲南のみち

著者:司馬遼太郎
レーベル:朝日文庫


「蜀へは、行くのではなくよじのぼるのである。」
この一文だけでも飛行機がない時代に
そこへ行くのがいかに困難なものだったかが
想像できる巴蜀(現・四川省)、そして更に南の雲南(現・雲南省)の地。

そんな土地の道を行く紀行文です。
(行くといっても大半が飛行機とバスだったようですが)

司馬遼太郎が中国史を題材にして書いた小説は
秦末〜漢の時代が舞台の「項羽と劉邦」、
明末清初を舞台とした「韃靼疾風録」などがありますが、
「三国志」はなかったかと思います。

このエッセイではそんな司馬遼太郎から見た
三国(勿論、主に蜀なわけですが)時代というものを
垣間見ることができます。

その他、恐らくこの巻でのメインテーマであると思われる、
日本人のルーツの有力候補の一つと考えられる根拠としての
産物、地理関係、歴史的経緯、少数民族への考察や
どこかいい意味での滑稽味のある現地の人たちとのやり取りなど、
地味ながらも読み応えのある一冊でした。

theme : 感想
genre : アニメ・コミック

tag : 街道を行く 司馬遼太郎

[小説]最後に地獄を見た男

作者:サイモン・クイン
レーベル:東京創元社


古本屋で見かけて、何となく手にとってみた本。

007系のスパイ小説、という分類になるのでしょうか。

第二次世界大戦が終わってまだそれ程の時が
経っていない時代のイタリア、フランスが舞台。

「異端審問官(インクィジター)」と呼ばれる
バチカン市国の諜報員・キリーが
戦時中にイタリアを裏切り戦後のフランスで
情報部門を握って暗躍している大物を追跡し、
その過程でいくつもの死線を潜り抜けることになります。
果たしてその大物の真の目的とは!?

汚物や薬物の中毒症状、死体についての
やたら生々しい描写を乗り越えれば、
次々と発生するイベントと
息もつかせぬアクションの連続で
飽きることなく最後まで楽しませてくれる作品です。

主人公が、諜報員のくせに「人をできれば殺したくない」主義
(人殺しよくない!ではなく"いい加減ウンザリしている"という意味で、ですが)
というのも個人的にそこはかとなくポイント高し。
・・・と言いつつ必要とあらば手段は選ばないあたりも
何やら海外作品らしく、新鮮な感触を味わうことができました。

theme : 感想
genre : アニメ・コミック

tag : サイモン・クイン 東京創元社 最後に地獄を見た男

[小説]明るい家族砲計画っ!3

作者:新木伸
イラスト:さそりがため
レーベル:ファミ通文庫


終盤はかなり置いてけぼりをくらった気分に
させられましたが、それ以外はいつも通りと言えばいつも通りな
ほのぼの時々暴走なコメディでした。

今回は登場人物が大幅に増えているせいか
各キャラの見せ場が限られており、特に表紙を飾った高坂は
かなり可哀想な扱いとなっています。
個人的には女性キャラの中で一番好感がもてるコだっただけに
ちょっと残念でなりません。

このシリーズにおけるラスボス(?)らしき存在がちらりと
姿を見せますが、果たしてこれからどのような展開を見せるのか!?

theme : 感想
genre : アニメ・コミック

tag : ライトノベル ファミ通文庫 新木伸 さそりがため 明るい家族砲計画っ!

[小説]新釈 走れメロス 他四篇

著者:森見登美彦
原作:中島敦、芥川龍之介、太宰治、坂口安吾、森鷗外
レーベル:祥伝社文庫


面白かった!

走れメロス」などの名作を
京都の地を舞台に、
そこに蠢く腐れ大学生たちを主役に、
愉快なアレンジをふんだんにかけた短編集です。

しかし、大きくアレンジされている一方で
原作(私は「走れメロス」しか知りませんが)がもっているであろう
雰囲気やリズムもきっちり残されているあたり、
滑稽なノリの中にも丁寧な仕事が光っているように思えます。

どの話のどの登場人物も偏屈で不器用で馬鹿揃い。
特に表題作「走れメロス」のバカバカしさは
本当に突き抜けています。
真の友情とは何か?と言わんばかりに
主人公は駆け、叫び、暴れまわり、裏切られ、
追われ、数々の困難を乗り越え、
そして最後は大団円(?)と
なるのですが、ちっとも泣けない。ニヤニヤが止まらない。

電車の中で読んでいたので笑う代わりに
顔の筋肉をひきつらせながら、一気に読んでしまいました。

いや〜、良い娯楽小説でした!!

theme : 感想
genre : アニメ・コミック

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[小説]血吸村へようこそ3

作者:阿智太郎
イラスト:あらきかなお
レーベル:電撃文庫


既刊に比べてシリアス成分多めなシリーズ第三巻です。

前半はヒロインの一人、鳩羽エリ子の過去をメインとしたエピソード。
後半は後半は前半の内容を少しだけ踏まえた、
人間の男と吸血鬼の女の恋(に主人公たちがおせっかいやき)のエピソード。

「吸血鬼」という存在に対しての主人公のスタンスが
未だにフラフラしているのがじれったくてしょうがないのですが、
定まってしまえばこのシリーズは終わってしまうわけで。
ある意味、この主人公の姿は"普通の人間"として
等身大な人間像でもある、と解釈することにします。

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