[小説]私の男

作者:桜庭一樹
出版:文藝春秋


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だって、血が繋がってる。
ほかの誰ともちがう。
しちゃいけないことなんて、なにもない。
父と娘のあいだには
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"現在"から"過去"にさかのぼるという、
ここ最近の桜庭一樹作品のパターンとは
逆の形で展開される作品です。

とある安定した企業に勤める青年との結婚を
間近に控えた主人公、腐野花。
物語は婚約相手との結婚式の打ち合わせから始まり、
章が進むごとに、2005年、2000年、1996年、
そして全ての始まり、1993年へと戻っていきます。
その過程で次第に明らかになっていく
花とその養父、淳悟の間にある
昏く、絡みつくような関係と過去。

「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」で描かれるような
虐待ともまた違う、いたたまれないくらいに濃い
父と娘の関係。
一歩間違えると下世話な二時間ドラマものに
なってしまいかねない設定ですが、
桜庭一樹が書くと、読んでいるあいだも
読み終わった後も心のあちこちをかきむしられるような、
魂をもっていかれるような物語となります。

泣ける小説、ではなく、"哭ける"小説。

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